動物にあげてはいけないと言われている食べ物の筆頭にチョコレートがあります。ファンシーラットの飼育書にもNGと書かれていますが、海外のラット飼育者のなかには「チョコレートを食べてもラットは死なない」と主張する方も。
今回は、実際ファンシーラットはチョコレートを食べられないのか?という点について、テオブロミンの摂取致死量・チョコレートへの含有量をもとに計算し、解説していきます。
チョコレート中毒の内容
チョコレートを食べた際に動物が体調を崩したり、死んでしまったりする原因は「チョコレート中毒」にあります。
チョコレート中毒を引き起こす原因は、チョコレートのなかに含まれている「テオブロミン」という成分です。
テオブロミンはカフェインとは違いますが、似た成分です。
テオブロミンの解毒薬・分解薬は存在していないため、致死量以上のテオブロミンを摂取してしまっても、嘔吐促進・代謝促進・胃洗浄以外には成すすべがありません。
いわば「食べてしまったら終わり」なので、ペット飼育者はチョコレートに細心の注意を払う必要があるのです。
テオブロミンの摂取致死量
チョコレート中毒は恐ろしい症状ですが、発症するかどうかは摂取量により決まります。また、人間であっても摂取しすぎると発症します。
以下では、動物ごとのテオブロミンの摂取致死量を表にまとめました。
動物名 | テオブロミン摂取量/体重1kgあたり | どうなるか |
---|---|---|
人間 | 26mg/kg | めまい・吐き気・嘔吐 |
犬 | 300mg/kg | 半数が死亡 |
猫 | 200mg/kg | 半数が死亡 |
ラット | 1265mg/kg | 半数が死亡 |
マウス | 837mg/kg | 半数が死亡 |
こうして表でみると、人間の摂取可能量が意外と少ないことに驚かされます。一方、ラット・マウスはかなりの量を摂取可能です。
また、上記の量はチョコレートの重さではなく、あくまでチョコレートに含まれるテオブロミンの摂取致死量です。
チョコレートは、カカオ率によってテオブロミンの含有量が異なります。
それでは、チョコレートのテオブロミン含有量も見ていきましょう。
チョコレート100gあたりのテオブロミン | カカオ分の割合/表示 |
---|---|
1100mg | 99% |
610mg | 70% |
270mg | 41% |
220mg | 33% |
高カカオチョコレートであればあるほど、テオブロミンの含有量は上がるようです。
ちなみに、明治のミルクチョコレートのカカオ分は、35~40%と公表されています。
参考:『明治:チョコレートに含まれるカカオ分とカカオポリフェノールの量』
また、最近の板チョコは1枚50gですから、上記100gあたりのテオブロミンは板チョコ2枚分の量ということになります。
実際に計算!体重400gのラットがチョコレート中毒を起こすには?
ここでさらに、体重400gのラットが、どれくらいのチョコレートで中毒を起こすのかを計算してみましょう。
体重400gのラットのテオブロミン致死量は、506mgです。
(1265 mg ÷ 1000 g = x mg ÷ 400 g ,x = (1265 × 400) / 1000 ,x = 506 mg)
次に、明治ミルクチョコレート1枚のテオブロミン含有量が125mgだと仮定します。
(250mg/2)
506割る125をすると、4.048という結果が出ました。
つまり、体重400gのラットがチョコレート中毒で亡くなるには、4枚のミルクチョコレートを食べる必要があるということです。
ラットが短期間に板チョコを何枚も食べるのは、物理的に難しそうです…。
しかも「半数が死亡」なので、4枚食べても半分の確率で生きています。
もちろん個体差はありますが、「ラットはチョコレート中毒を起こさない」と考えてよさそうですね。
ラットはチョコレート中毒に強い耐性がある
ラットは人間以上に強いテオブロミン耐性を持っており、チョコレート中毒を起こす可能性はかなり低いということが判明しました。
もちろんチョコレートにはテオブロミン以外にも砂糖など、ペットの健康に影響を及ぼす原料が多く含まれているため、この記事を読んだからといって、意図的にチョコレートを与えるのはよくありません。
しかし、もしペットのラットがチョコレートを少し食べてしまったとしても、「チョコレートを食べたから死んでしまう!!!」とパニックになる必要はないことを知っていただけると幸いです。
また、ラット・マウス以外のペットはテオブロミンへの耐性が低いため、色々なペットを飼っている方は、引き続きチョコレートの管理には細心の注意を払いましょう。
食べ物に気をつけて、よいねずみぐらしを送ってください!
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