ハムスターはチョコレート中毒になる?計算した致死量と対処法を紹介

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ハムスターはチョコレート中毒になる?

動物にあげてはいけないと言われている食べ物の筆頭にチョコレートがあります。ハムスターの飼育書にも「痙攣などを引き起こすためNG」と書かれていますが、本当なのでしょうか。

今回は、ハムスターはチョコレート中毒になるのか?といった点について、ラットのテオブロミンの摂取致死量をもとに計算し、解説していきます。

また、ハムスターがチョコを摂取してしまった時の対処法についても記載していますので「ハムスターがもしチョコを食べてしまった/舐めてしまったら、どうすれば?」と心配な方は、ぜひご覧ください。

目次

チョコレート中毒の症状と原因

チョコレートをペットが食べてしまった際について、飼育書などには「痙攣・嘔吐・下痢を起こしたのち、最悪の場合は死亡」と書かれています。これはハムスターの飼育書であっても例外ではありません。

犬や猫などがチョコレートを食べた際にそういった症状を起こすのは、おもにチョコレートのなかに含まれている「テオブロミン」という成分が原因です。

テオブロミンは成分・効能的にはカフェインと似ていますが違うもので、動物にとっては毒になりやすい成分です。

公開されている、動物ごとのテオブロミンの摂取致死量は以下の通りです。

動物名テオブロミン摂取量/体重1kgあたりどうなるか
人間26mg/kgめまい・吐き気・嘔吐
300mg/kg半数が死亡
200mg/kg半数が死亡
ラット1265mg/kg半数が死亡
マウス837mg/kg半数が死亡
引用:『PubChem:Theobromine:13.1.4 Acute Effects』より一部抜粋

ハムスターのデータこそ見当たりませんでしたが、同じげっ歯類であるラット・マウスの実験データが存在しています。

これをもとに計算してみると、犬や猫であればチョコレートをひとくち食べただけで健康に影響が出てしまいますが、ラットはチョコレートを何枚か食べても平気という計算結果になりました。

飼い主

詳細はファンシーラットの記事で解説しています。計算式が気になる方はこちらをご覧ください!

ハムスターのテオブロミン耐性は?

上記の研究データとはまた別のデータですが、ハムスターのテオブロミン耐性について言及しているものを見つけました。

それによると、ハムスターはラット以上のテオブロミン耐性を持っているようです。

それでは、仮定としてラットのテオブロミン致死量「1265mg/kg」をもとに、ジャンガリアンハムスターの体重(50g)で計算してみましょう。

ラットのテオブロミン致死量は体重が50gの場合、63.25mgになります。

ミルクチョコレート1枚のテオブロミン含有量が125mgだと仮定すると、ミルクチョコレートでの致死量はちょうど板チョコ半分、25gほどになります。

ジャンガリアンハムスターが短時間に板チョコを半分も食べられるか?と考えると、物理的に不可能でしょう。

ぱんまう

ジャンガリアンハムスターの1日の食事量は5~10gとされています。

また、野生のゴールデンハムスターを捕獲し研究する論文では、餌にチョコレートを混ぜてハムスターをおびき寄せていました。

これらの内容を踏まえると、ラット同様に「ハムスターはチョコレート中毒を起こさない可能性が高い」と考えてよさそうです。

ただし、チョコレートのテオブロミン含有量はカカオ率によって異なります。
また毒物への耐性は個体差も大きく、ハムスターのしっかりとした耐性値も出ていないため、ペットのハムスターに意図的に食べさせるのは控えましょう。

もしハムスターがチョコレートを食べてしまったら?

テオブロミンの解毒薬・分解薬は存在していないため、致死量以上のチョコレートを食べてしまった際の対処法は「嘔吐させる」「胃洗浄を行う」「点滴を打って代謝を促進させる」になります。

しかし、ハムスターを意図的に嘔吐させるのは難しく、胃洗浄もほぼ不可能です。

ただ、上記の計算によれば、ハムスターが少量のチョコレートを食べてしまったとしても、健康被害が出ることは考えにくいと思われます。

そのため少量であればパニックを起こさず、落ち着いて以下の対応をとるのがおすすめです。

  • かかりつけの動物病院に連絡し、チョコレート中毒への対応(点滴)が可能かどうか尋ねる
  • 動物病院での対応が無理だった場合、自宅の暖かくした場所で柔らかく、少し水気の多いご飯を食べさせる(ふやかしたおやつ・ペレットなど)
飼い主

いきなり連れて行っても動物病院によっては対応できない可能性があるため、確認せずに訪れるのはハムスターの体力的に避けた方がいいかもしれません。

ぱんまう

この辺りの判断は自宅と動物病院の距離など、環境によっても異なると思いますので、自分の環境に合った判断をしてください。

ハムスターもチョコレート中毒に強い耐性がありそう

実際に、犬や猫、牛や狐、クマやアナグマ、オウムに関しては、チョコレートを摂取した後に亡くなったという報告が確認できました。

しかし、今のところラットハムスターなどのげっ歯類がチョコレートで体調を崩し、亡くなったという報告は見つけられていません。

そのため、げっ歯類はチョコレート中毒に対する強い耐性を持っていると考えられます。

飼い主

とはいえ、市販の人間用チョコレートにはテオブロミン以外にも砂糖や脂質など、ペットの体には悪いものがたくさん含まれているので「チョコをあげてもよい」と言いたいわけではありません。

ぱんまう

人間用のお菓子は、なんであれペットには与えない方が安心です。

チョコレートの扱いには注意しつつも、万が一少量食べてしまった際は過度にパニックを起こさず、落ち着いて対応しましょう!

参考論文
“Case of suspected theobromine poisoning in dairy cattle” Carmen Klein, Melanie Feist, Gabriela Knubben-Schweizer, Britta Dobenecker
“Short-term effects of graded levels of theobromine in laboratory rodents” Stanley M. Tarka Jr, Barry L. Zoumas , Joseph H. Gans
“Foraging behavior of golden hamsters (Mesocricetus auratus) in the wild” Samantha C. Larimer Bousquet

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この記事を書いた人

ねずみ沼に住んでいる飼い主。

ハムスター・ファンシーラット・マウスなど多数のねずみたちと暮らしています。

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